
2025.09.25
私たちにも遺産があるのでは?遺産分けで主張がバラバラ…どうまとめる?(「私がいちばん世話した」「法どおりでいい」「家は売って現金で」――気持ちがぶつかる場面を、順番に整理するお話)
ご相談はFさん(50代・次女)と妹さん。
お父さんが亡くなって10年以上、実家は長女(姉)が住んだままで、遺産分けの手続きが終わっていません。
お母さんの生前から姉が介護を続けてきたため、最初は感謝もありましたが、年月とともに「このまま姉だけ遺産をもらうのは不公平では?」という不満が膨らんできました。
いま困っていること
- 姉は「長年の介護分してきた。このまま住むのは当然」と主張
- 妹たちは「法定相続分(法律の基本の分け方)を土台にしたい」
- 実家をどう扱うか(住む/売る/貸す)で意見がまとまらない
まず「土台」をそろえる(事実と考え方)
- 家・預金などの一覧を一枚に(家の評価や売却見込みもメモ)
- 介護や持ち出し費用などの事実の記録(時系列で淡々と)
- 話し合いの基準=法定相続分をまず共有し、調整は代償金(お金で補正)で行う方針に
感情のもつれを減らすコツ
- 同居・介護の寄与は、調停でも認められにくいことが多い → 「気持ち」ではなく数字で補正(代償金)
- 家に誰かが住んでいると売却が進まない → 住む人の今後と、売る/住むの二者択一を先に決める
- 売却に進むなら、名義を相続人へ移す→契約→引き渡しまでの段取りを決める
相続財産だから、不動産売却時に税金を払わないで済む
実家の売却価格を2,000万円で想定。
- 通常なら約400万円の税金がかかる可能性
- ただし住んでる人(姉)が売れば居住用財産の3,000万円特別控除で、原則は課税なしにできる
- 引っ越し費用・仲介手数料・測量費・荷物撤去費などを差し引き、手取りはおよそ1,800万円
- これを3人で分ける形なら、各人約600万円が目安(実費は個別に精査)
※特例の適用可否や税額は個別条件で変わります。必ず税理士等の確認が必要です。
解決の方向性(現実的な道筋)
- 代償分割:姉が住み続けるなら家は姉へ、その代わりに姉から妹たちへ代償金で調整
- 換価分割:家を売って現金化し、費用を引いた残りを分ける(住む人がいない・合意が得やすい)
- 現物分割:家・預金など現物で割り振り、偏りは小さな代償金で補正
このままだと困ること
- 実家が姉のひとり占めのまま固定化
- 妹2人のメリットがない状態が続く
- 老朽化で維持費(固定資産税・修繕)がかさむ
- 共有名義が長引くと不利益(売却・管理の合意形成が難しくなる 等)
進め方(やさしい3ステップ)
- 骨子(ほねぐみ)合意:
①基準は法定相続分 ②家は「住む or 売る」 ③不足分は代償金――の3点だけ先に合意 - 数字を当てる:
評価(または売れそうな価格)・代償金の額・支払い方法(期日・分割可否)を具体化 - 遺産分割協議書に落とす:
3人で署名・実印・印鑑証明をそろえ、相続登記へ。換価分割ならその後に売買契約→引渡しへ進む
相続専門家からの提案
- 公平感を保つ割合設計:介護や持ち出しも踏まえ、代償金で数値補正して合意形成
- 売却を選ぶなら、特例が使える条件の確認を先に行い、期限内の実行を逆算して段取り
- ワンストップの実務:①遺産分割→②相続登記→③売却まで並走
頼るべき専門家(役割分担)
- 相続専門家(うらら):相談対応/課題整理/対策提案/専門家選任/協議書の設計・コーディネート/売却サポート
- 司法書士:不動産の相続登記・名義変更、売買・担保の登記
- 宅地建物取引士:不動産の査定・売却仲介
- 土地家屋調査士:測量・境界確定・分筆 等
まとめ
- 「介護したから多く」の気持ちは尊重しつつ、数字で調整すれば前に進む
- 分け方は代償分割・換価分割・現物分割の3本柱。家族に合う型を選ぶ
- 骨子→数字→協議書の順で整えると、長引く争いを防げる


